草食男子もいいかもしれない。


妻はくの一(角川文庫)
いきなり美女が嫁に来て、浮かれている一ヶ月で妻は失踪。
草食・理系で天文オタクのモテない男が美人で仕事も料理もできる女を追って都会へ!
ってこれ実は時代小説です。
主人公の雙星彦馬は迷わず江戸で妻探しを始めます。
妻の織江は実はくの一で、仕事のため結婚・失踪していたものの彦馬のことは忘れられず……。こう書くとなにかメロドラマ調ですがそんな悠長なことは言ってられません。
とにかく出てくる人物が多くてキャラが濃い!
歴史上有名な松浦静山やら、彦馬がはじめる寺子屋の子供たち、織江の母の他犬のタケとマツ、猫のにゃん太もちょろっと出ておわりじゃないです。巻を追うごとに増えていきますがそれぞれが活躍して誰が主人公!?とか思ってたら彦馬もしっかりしてくるし、織江は同僚からやっかまれるしで二人はいつ会えるねん!!と思ってるとニアミス。
これだけの材料であと三冊は書けるんじゃないですか?
江戸情緒+人情+チャンバラ+歴史といろいろな要素が楽しめますが、ただの変わり者だった彦馬がどんどん格好良くなってくるところが一番見所かもしれません。次がほんとに気になります。
二人とも幸せになってほしいです。